歯の神経を保存する治療
現在、初期の神経への進行であれば、神経を保存することが可能となってきました。神経を保存できると歯の寿命が延びます。治療の回数も少なくなり、様々なメリットがあります。
ただし、必ずしも成功するわけではありません。神経を保存する最後の砦として考えてください。
当院では、出来る限り神経を保存したいと考えており、成功のために3つの要素を取り入れております。
マイクロスコープ:拡大視野(感染物質を見極める拡大鏡)
ラバーダム:感染制御(神経を術中感染させないための遮断膜)
MTAセメント:緊密封鎖(神経と外界を遮断するために有効なセメント)
歯の神経を綺麗にする治療
むし歯が神経へ進行すると一気に神経内に広がります。その場合は、感染している歯の神経組織を取り除き、内部(根管)を綺麗にする必要があります。いわゆる「根管治療」が必要になってきます。
根管治療
根管を綺麗にするには、専用の器具で感染している組織の除去が必要です。根管内は細く複雑な形態をしていることが多いので、精密な治療になります。
神経内部を汚染させない取り組み
治療中に唾液が歯の内部に侵入するとそこでも感染が起きてしまいます。そこでラバーダム防湿という方法を行っております。
ラバーダム防湿
治療時の根管内への細菌の侵入を防ぐためゴム製のシートで歯と口腔内を遮断します。(歯があまりにも少なく使用できない場合は、シート以外での防湿を行います)これにより、根管治療の成功率が上がるとされています。日本ではあまり使用されませんが、アメリカの歯内療法専門医はラバーダムの使用率が90%以上と言われています。
(日本におけるラバーダム防湿使用率)
日本歯内療法学会誌より改変
マイクロスコープのよる根管治療
マイクロスコープを使用することにより、肉眼では見えない汚れや異常を発見しやすくなります。マイクロスコープは根管治療に様々な恩恵を与えてくれます。
CTによる感染根管の見える化
根管治療において、CT撮影による診断はとても有効になります。
再根管治療(神経治療の再発)
一度歯の神経の治療が終わっても、また再発する場合があります。「歯茎が腫れる」「噛めない」などの症状が現れます。その場合は、もう一度根管治療をやり直す必要があります。再治療はさらに難しい治療になり、より精度の高い治療が必要になります。根管治療で治癒しない時は「外科的歯内療法」が必要な場合もあります。
外科的歯内療法
歯ぐきを切開し、感染部を直接摘出する手術法で、「歯根端切除術」と呼ばれています。確実に感染部を摘出することが重要で、マイクロスコープを使用して治療を行うことにより、正確な感染除去が可能となります。
当院では可能な限り歯を保存する治療を推奨しております。治療期間は長くかかってしまいますが、きちんと通って治療を行えば治る歯も多くあります。治療期間・治療方法・治療後の予後等について十分説明を行い、治療させていただきますので、ご安心ください。