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こんにちは!
さいたま市浦和区・北浦和駅前にある歯科医院、北浦和かねこ歯科クリニックです。
季節の変わり目ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私たちは日々北浦和にお住まいの皆様(もちろん他の地域からの患者様もたくさんいらっしゃいます!)のお口の健康をサポートさせていただいていますが、このようなご相談を受けることがあります。
「最近、飲み物でむせることが増えた」
「硬いお肉やたくあんが噛み切れなくなってきた」
「会話をしていると、滑舌が悪くなった気がする」
「年齢のせいだから仕方がないわ」と笑って済ませてしまう方も多いのですが、実はこれ、「オーラルフレイル」というお口の機能低下の重要なサインかもしれません。
今回は、健康寿命を延ばすために非常に重要な「オーラルフレイル」について、そして歯科医院だからこそ提案できる本格的なトレーニング「MFT」についてもお伝えできたら思います。
ぜひご自身や、大切なご家族のことを思い浮かべながら読んでみてくださいね。
オーラルフレイルの話をする前にまず「フレイル」という言葉について簡単にご説明します。
フレイルとは、英語の「Frailty(虚弱)」を語源とする言葉で、「健康な状態」と「要介護状態」のちょうど中間に位置する状態のことを指します。
年齢を重ねて心身の活力が低下し、弱ってきている状態ですが、ここが運命の分かれ道です。 実はフレイルは、「適切な対策を行えば、健康な状態に戻ることができる」時期なのです。
完全に介護が必要な状態になってから元に戻すのは大変ですが、フレイルの段階で気づき、対策をすれば、長く元気で過ごすことができます。
そして今回のテーマである「オーラルフレイル」。
これは、「Oral(口の)」+「Frailty(虚弱)」を組み合わせた言葉で、お口の機能の些細な衰えのことを指します。
噛む力、飲み込む力、話すための舌の動き… これらが少しずつ低下していく状態です。
「口が少し衰えたくらいで、大げさな…」と思われるかもしれません。
しかし、オーラルフレイルの本当に怖いところは、ここから始まる「全身の老化ドミノ」にあります。
| お口の機能低下(オーラルフレイル) 硬いものが食べにくくなる、汁物でむせる。
↓ 食生活の変化 噛みやすい「うどん」や「パン」などの柔らかいものばかり食べるようになる。お肉や繊維質の野菜を避けるようになる。 ↓ 栄養バランスの偏り・低栄養 体を動かすためのタンパク質やビタミンが不足する。 ↓ 身体機能の低下(サルコペニア) 筋肉が減り、足腰が弱くなる。疲れやすくなる。 ↓ 社会参加の減少 「食べこぼすのが恥ずかしい」「外出が億劫」になり、家に閉じこもりがちになる。 ↓ 要介護状態・認知機能の低下へ |
このように、お口のほんの少しの衰えが、最終的には寝たきりや要介護のリスクを高めてしまうことが、多くの研究で分かっています。
逆に言えば、お口の機能を維持することは、全身の健康を守る最強の「防波堤」になるのです。
では、現在のご自身やお口の様子をチェックしてみましょう。
東京大学高齢社会総合研究機構などが推奨しているチェックリストを参考に、簡易版をご用意しました。
いくつ当てはまるか数えてみてください。
| 【オーラルフレイル チェックリスト】
☐ 硬いものが食べにくくなった (例:さきいか、たくあん、堅焼きせんべいなど) ☐ お茶や汁物でむせることがある ☐ 口の中が乾く(ドライマウス) ☐ 滑舌が悪くなったと言われる ☐ 食事をするのに時間がかかるようになった ☐ 食べこぼしをすることがある ☐ 自分の歯が少ない、または合わない入れ歯を使っている ☐ 外出の頻度が減った |
いかがでしたか? 実はこれ、「1つでも」当てはまる項目がある場合、オーラルフレイルの予備軍、あるいはすでに進行している可能性があります。
特に「むせ」や「滑舌」は、喉や舌の筋力が落ちているサインとして見逃せません。
「当てはまってしまった……」と落ち込む必要はありません! 先ほどもお伝えした通り、フレイルは「戻ることができる」状態です。今日からできる対策をご紹介します。
1. よく噛んで食べる工夫をする
「柔らかいものばかり」は筋肉を衰えさせます。 無理に硬いものを食べる必要はありませんが、意識して「食材を大きめに切る」「歯ごたえのある食材(根菜類など)を取り入れる」など、噛む回数が増える工夫をしましょう。
2. 地域での交流を楽しむ
実は「会話」はお口の素晴らしいトレーニングです。 家に閉じこもらず、例えば近くの公園まで散歩してみたり、地域のイベントに参加してご友人と会話を楽しんだりするのも良いですね。 人と会い、笑い、歌うことは、お口だけでなく心の健康にもつながります。
さて、ここからが歯科医院ならではの専門的なお話です。 皆さんは、「MFT(エムエフティー)」という言葉を聞いたことはありますか?
これは「口腔筋機能療法(こうくうきんきのうりょうほう)」といって、簡単に言えば「お口周りの専門的な筋トレ」のことです。
本来は、お子様の歯並びを悪くする癖(指しゃぶりや舌の癖)を治すために行われることが多いのですが、実はこれ、大人のオーラルフレイル予防にも絶大な効果があります。

※院内MFT資料より抜粋
私たちが「ごっくん」と飲み込むとき、実は「舌」が強い力で上顎(口の天井部分)を押し上げています。この舌の力が弱まると、飲み込みが上手くいかず、気管に入ってしまい「誤嚥(ごえん)」を引き起こします。
MFTは、まさにこの「舌の正しい位置」と「舌の筋力」をピンポイントで鍛えるトレーニングなのです。
・飲み込む力を強化する(誤嚥性肺炎の予防)
・唇を閉じる力をつける(口呼吸・ドライマウスの防止)
・口周りの筋肉を引き締める(お顔のアンチエイジング効果!)
ただ健康になるだけでなく、口元が引き締まって若々しい印象になれるのも、MFTの嬉しいポイントです。
MFTのトレーニングはたくさんありますが、基本となる舌の位置「スポット」を意識するだけでも効果があります。
スポットを探す 上の前歯の裏側の、少し歯茎が盛り上がっている部分。ここが「スポット」です。
舌をセットする 舌の先を、この「スポット」に軽く触れさせます。この時、歯には触れないようにしてください。
キープする 普段リラックスしている時や、テレビを見ている時、常に舌がこの位置にあるのが「正しい状態」です。
「気づいたら舌が下がっている」「口がポカンと開いている」という方は、舌の筋肉が衰えている証拠です。
まずは「舌先をスポットにつける」ことから意識してみましょう。


※院内MFT資料より抜粋
オーラルフレイルは、加齢に伴う自然な変化のようでいて、放置すると怖い病気への入り口にもなります。
しかし、気づいたその日から対策を始めれば、確実にお口の機能は改善します。
・些細な「むせ」や「食べこぼし」を見逃さない
・MFTなどのトレーニングを取り入れる
・かかりつけの歯医者さんを持つ
これらを意識して、いつまでも美味しいものを自分の口で食べられる人生を送りましょう!
北浦和かねこ歯科クリニックは、皆様がいつまでもご自身の歯で美味しく食事をし、元気に過ごせるよう全力でサポートしていきます。
「チェックリストに当てはまった」「MFTについてもっと詳しく知りたい」「親の食事が心配」など、どんな小さなことでもお気軽にお声がけください。
北浦和かねこ歯科クリニック
📍 〒330-0074 埼玉県さいたま市浦和区北浦和3丁目8-16
JR京浜東北線「北浦和駅」東口より徒歩30秒
☎ 048-711-8821